こんにちは。
大橋照美です。
相談会などでお話をしていると、
「自分には個性がないんです」
「もっと個性を出さなければいけないと思っていて…」
そんなお悩みを耳にすることがあります。
SNSを見れば、素敵な作品や個性的な発信をしている人がたくさんいます。
そんな人たちと自分を比べてしまうと、もっと何かを変えなければ、もっと自分らしさを出さなければ、と焦ってしまうのかもしれません。
でも、少し違う視点から考えてみませんか。
個性とは作り出すもの?
少し前に、YouTubeの書評チャンネルで、批評家の小林秀雄と数学者の岡潔による対談本『人間の建設』を取り上げた動画を視聴しました。
その中で紹介されていた考え方が、とても印象に残っています。
私なりに要約すると、
個性とは、自分で意識的に作り出すものではなく、自然と表れてくるもの。
ということです。
無理に個性を出そうとしなくても、普段の考え方や物事の捉え方、何かを選ぶときの感覚などに、その人らしさは自然と表れてくる。
むしろ、押さえつけたり、型にはめたりしても、どうしてもにじみ出てしまうもの。
それが個性なのかもしれません。
そう考えると、少し気が楽になりませんか。
同じ材料でも、同じ作品にはならない
例えば、お友達と一緒に手芸をするとします。
同じ型紙を使い、同じ材料を用意して、同じ説明を聞きながらお人形を作ったとしましょう。
それでも、きっと出来上がるお人形は違うはずです。
目の大きさや位置。
綿の詰め方。
ドレスの生地選び。
色の組み合わせ。
ほんの少しの違いが重なって、最終的にはそれぞれの雰囲気を持った作品になります。
作っている本人は、特別に個性を出そうとしたわけではありません。
ただ、自分の好きなものを選び、自分の感覚で手を動かしただけ。
それでも、ちゃんと違いが生まれるのです。
これは作品だけではありません。
文章の書き方、写真の撮り方、色の選び方、人との接し方。
日常の何気ないところにも、その人らしさは表れています。
個性がないのではなく、自分にとって当たり前すぎて、個性だと気づいていないだけなのかもしれません。
個性を作ろうとすると、かえって不自然になることも
ここで、少し別のことを考えてみました。
世の中には、自分らしさを表現しようとするあまり、どこか無理をしているように見えるケースもあります。
例えば、発信の仕方。
目立たなければいけない。
人と違うことを言わなければいけない。
インパクトのある表現を使わなければいけない。
そう考えて、普段の自分とは違うキャラクターを演じてしまうことがあります。
もちろん、印象に残る表現を工夫することは大切です。ただ、目立つことと、その人らしさが伝わることは別の話です。
無理に作ったキャラクターは、発信を続けるほど負担になりますし、お客様との間にも違和感が生まれることがあります。
それよりも、自分が自然にできること、自分が心地よいと感じる表現を大切にした方が、長く続けられるのではないでしょうか。
個性を見つけることと、伝えることは別の話
ここからは、マーケティングの視点です。
実は、ビジネスにおいて大切なのは、個性を無理に作り出すことではありません。
すでに持っている個性を、お客様に伝わる形にすることです。
例えば、同じようなハンドメイド作品を販売している人がいたとします。
作品のジャンルも、価格帯も、使っている材料も似ている。
その場合、お客様は何を基準に選ぶのでしょうか。
作品のデザインや品質はもちろんですが、それだけではありません。
- どんな想いで作品を作っているのか
- どんな世界観を大切にしているのか
- どんな人が作っているのか
- どんな暮らしや価値観を持っているのか
そうした情報に触れることで、お客様は少しずつ、その人ならではの魅力を感じ取っていきます。
そして、
「この人の作品が好き」
「この人の世界観に惹かれる」
「この人から買いたい」
という気持ちにつながっていくのです。
これがブランディングの大切な役割です。
ブランディングというと、ロゴやカラー、デザインを整えることだと思われがちですが、それだけではありません。
その人が何を大切にし、何を提供し、どんな価値を届けているのか。
それらが一貫して伝わることで、他との違いが生まれます。
つまり、個性そのものを変える必要はないのです。
必要なのは、自分の中にあるものを整理して、伝え方を整えること。
あなたの「当たり前」に価値がある
もし今、
「私には個性がない」
「ほかの人と比べて、何も特徴がない」
と感じているなら、一度立ち止まって考えてみてください。
あなたが自然にできることは何でしょう。
つい時間を忘れて取り組んでしまうことは?
人からよく褒められることは?
自分では普通だと思っているけれど、誰かに驚かれたり、感謝されたりすることはありませんか。
そこに、あなたらしさを見つけるヒントがあるかもしれません。
そして、その個性を無理に飾り立てる必要もありません。
大切なのは、自分の魅力を知り、それを必要としている人にきちんと届けること。
個性を作ることに時間を使うよりも、自分がすでに持っているものを見つめ直してみる。
その方が、あなたらしいビジネスを育てる近道になるかもしれません。
個性は、目立つために作るものではなく、選ばれる理由として伝わっていくもの。
そんなふうに考えてみると、自分の中にあるものを、もう少し大切にしたくなりませんか。
このブログでは、仕事や創作、日々の暮らしの中で感じたことを通して、自分らしい次の一歩について綴っています。
花や植物をモチーフにした作品づくりも続けています。
よろしければ、これからもお付き合いください。
My Next Botanical Days
大橋照美


